よい子のラノベ教室

ラノベ作家デビューをたくらむ会社員が   読んだり書いたり

感想文12冊目『異世界食堂」は予想以上にグルメ本だった

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すんません。

「なろう」の存在を知りませんでした。

新人賞受賞作だけじゃなく、今売れてるラノベも読もうと思い、

最近話題の「グルメ系」を読んでみようと思ったのが本作。

投稿サイト「なろう」から商業出版され、コミック化やアニメ化され、

大成功を収めている。

そういうルートもあるのか、と勉強になりました。

 

で、読んでみた感想ですが、これはラノベとかファンタジーとかというより、

グルメ小説ですね。

5対5か6対4くらいでグルメとファンタジーの比率が構成されているかと思いきや、8対2か9対2でグルメですわww

ちょっと驚いた。

 

今、グルメ系ラノベファンタジーが空前の人気ですね。

異世界食堂」とほぼ同じと目されるのが「異世界居酒屋のぶ」。

こちらも人気ラノベだけど、著者がうつ気味とかツイッターで拝見しました。

成功したら成功したで、色々悩みがあるのでしょう。

あとラノベじゃないけど「ダンジョン飯」も同系列ですね。

ただ「ダンジョン飯」は、スライムの調理方法とか、それなりにファンタジーだけど、

異世界食堂」は、あんまりファンタジー関係ないグルメ小説だからね。

これ、ファンタジーじゃなくて、昔の偉人とか、宇宙人とかでもいいと思う。

第1章「メンチカツ」、第2章「エビフライ」だから。

 

なぜ「異世界食堂」や「異世界居酒屋」がこれだけ売れるのか。

主なりに考えた結論は、ラノベ読者の高齢化。

15年前、西尾維新の「クビキリサイクル」や涼宮ハルヒが出てきてラノベという言葉が騒がれ始めた頃は、きっとグルメ系ラノベは流行らなかったと思う。

その頃の読者は中高生〜ハタチくらいで、当然ながらグルメよりも恋や冒険に関心のある年頃だから。

そしてそうした読者のうち、一部はラノベから卒業したが、以前としてラノベ読者のままの方も多く、彼らは気づくと30歳から40歳になっている。

その年になると受け入れられるんですよ、グルメものがw

ラノベ読者が、「孤独のグルメ」の気持ちを理解できる年齢になったんです。

 

ラノベ読者の高齢化、というのは一つのヒントになりますね。

どうも「中高生に受けるもの」と先入観にとらわれがちですが、必ずしもそれが唯一の答えではない。30〜40歳向けのテーマも、狙い目かもしれません。

特に、作者がその年齢に近いなら、無理に学園ものを頑張って書くより、無理がないかもね。

 

以上

 

 

 

 

 

 

 

 

初めてラノベを書く際に留意すべき3つのこと

10冊も読めば「だいたい」ラノベについて肌感覚で理解できた。

逆にこれ以上読んでも、何かの域値を超えて開眼するということはなさそうだ。

何事も、最初に一つ何かを動かさないことには、始まらない。

だから、とりあえず書き始めることにした。

と言っても、最初の何ページかを書いたのではなく、「こんなシーンも書こうかな」という、ストーリーの途中の、カットしてもどうでもいいところを、ザッと2000字くらい、2時間くらいで殴り書きした。

 

そうすると、自分なりにいくつかの気づきがあった。

(多分、今の主にだけに該当する気づきだと思われる)

 

一つ。

やはりキャラクターの性格は、はっきりと極端に設定しておくべきだ。

ここが「もやっ」としていると、登場人物のセリフや行動が、すべて「書き手」になってしまう。

男だろうが女だろうが子供だろうが大人だろうが、同じ思考&言動の「書き手」がたくさん登場してきて、クローン同士のやりとりが始まる。

これがなかなか気持ち悪い(笑)

まあ所詮登場人物の「中の人」は漏れなく「書き手」になるわけだが、気を抜いてると、地味でつまらない「書き手」の掛け合いになるというわけだ。

そうならないためにキャラ設定はしっかりやっておくべきで、なおかつ、極端なほどしておくべきということ。ちょっとくらい色付けしても、なかなかキャラが立たないから。

 

二つ。

上記の一つ目とやや矛盾するけれど、「キャラ設定はあとで変えてもいい」くらいに考えて、とりあえず書き進めた方がいい、ということ。

キャラクターの個性が売りのラノベなら話は別だが、そこそこストーリー重視のものであれば、あとでキャラクターの性格や設定を変えても、多分大丈夫。

というか、最初から完璧なキャラ設定をして、ぴったりのセリフや行動をさせようと思っても無理だと思う。少なくとも主には無理。

だから、まずストーリーを追う形でざっと話を作って、あとでキャラのセリフや行動にエッジを効かせるのがいいと思う。書きながら「こいつは、もっとお笑い系にしよう」「こいつはもっとお姉さんキャラにしよう」という具合に。話を進めて言ったり、キャラ同士を絡ませていく過程で、見えてくるものもあるだろう。

最初から完璧な人格(キャラ)を作ってからスタートしようと思うと、多分、いつまでたっても書き進められないか、ちょっと書き進めてヤメての繰り返しになりそうだ。

 

三つ。

上の二つ目に関連するが、とりあえず、書き上げること。

つまらなくても、矛盾があっても、書き上げる。

これが大事。

主も少し誤解していたが、ラノベ(小説全般?)を書くという行為は、頭にある「出来上がった」物語をダウンロードする作業ではない。「頭の中で80点、少なくとも60点の物語を構想してから書き始めよう」なんて思っていては一生書けない。

60点でも30点でも、10点でもいいから、まず「叩き台」をひねり出す。

そこから何度も叩き上げ、60点、70点にしていく。

これが小説を書くという「作業」だ。

おそらく、4〜5回は書き直すだろう。

 

最初の2〜3回位は、そもそも話の辻褄があっていないとか、そういうレベルで。面白い、面白くない以前のレベルで、「小説として成立していない」ものを、なんとか「ルール違反にはなっていない」レベルにする作業が必要だ。人体で言えば、骨格づくりに相当する。「よく考えたら鎖骨がなかった」ということに、この段階で気づくこともあるはずだ。

 

筋書きとして見るに耐えるものになったら、次は「より面白くする」ために、1〜2回書き直す。「こんなシーンも入れた方がいい」「このシーンは意味がなかった」とか、場合によってはキャラが増えたり、減ったり、性格が変わったり。この作業を経てようやく、書き手も「この作品は笑いのエッセンスが多いな」とか「シリアスだな」とか、「俺は意外にラブロマンスを書きたかったのだな」とかがわかってくる。

逆に言うと、ここまで、書き手も正直、どんな作品かはわからないと思う。そんな無責任な、と思うかもしれないが、おそらくこれは正しい。ベテラン作家ならこのあたりのコントロールは可能なのだろうが、初心者作家にとっては、そんなもんだろう。人体で言えば、肉付けとか、髪の毛をつけたりと言ったところ。これを経て「ああ、結構健康的なんだな」「思ったよりセクシーだな」「身長があるね」と言うのが見えてくる。

 

最後にブラッシュアップだ。

気の利いた(と書き手が思っている)セリフ、シーンを付け加えたり、ダサい部分を削ったりする。人体でいうと、表情であったり、化粧であり、洋服を着たりの段階。つまり、最終的な見た目だ。

極端な話、ここでテキストすべて書き換えてもいいと思う。

物語や必要なシーンは、前の作業までで終えている。つまり、本質的な構造や材料は出揃っている。それをどう読み手にデリバリーするか、それがここでの作業だ

必要なら、最後、文章をフルリニューアルしてもいいだろう。

 

作家として未熟なら、自分が鬼編集者となって、何度もダメ出しをして作り上げると言う方法がある。

しかし、どんなダメ原稿でもいいから、原稿がないと、鬼編集者もアドバイスしようがない。

なので、とりあえず、10点の原稿でも書くこと。

初心者には、まずこれが大事だと思う。

感想文11冊目『ハナシマさん』は、なぜ受賞できたのかわからない・・・

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第10回小学館ライトノベル大賞「ガガガ賞」受賞作。

本作品で、主は2回度驚かされた。

 

1回目は、これが新人賞を受賞したことだ。

 

本当に申し訳ないと思う。

人様が書いた作品に難癖をつけるのは、望むところではないし、やるべきでもない。

しかし、思わず言わずにはおれないのだ。

「審査員は、これのどこを評価されたのでしょうか?」

 

物語は、ホラーというか、サスペンスというか。

バラバラ猟奇殺人と、心霊ものと、学園ものが合体したような作品。

最初は、ちょっと興味があった。

恋愛ものでもコメディでもキャラクターものでもないラノベは久しぶりで、

なおかつ主はホラーには一家言持つ者なので、少し楽しみだった。

 

駄菓子菓子、、、、

 

期待はずれだった。

途中でそんな気配はしたが、これでも頑張って「最後のどんでん返しで一気に巻き返すのではないか」などと思い、読みきった。

なぜ期待外れなのか。

著者が未熟者だからとしか言いようがない。

作品として完成度が低い。

と、一冊も書いたことがないライトノベル一読者は思った。

 

何がしたいかわからない、と言うのが全体的な感想。

思わせぶりな「ふり」が、最初から散々出てくる。

でもそれが全部、大したことがないか、投げっぱなしかで、面白くない。

物理法則を無視しているから、トリックや謎解きが面白いわけではなく、

本来ならハナシマさん(=トイレの花子さんみたいなもの)の超常現象っぷりが本書の味噌になるはずなんだけど、ハナシマさん、たいして出番もないし、そんなに興味深い存在でもないし、なんだろう、出来の悪い小道具みたいな感じ。

 

その一方で、黒幕的なマッドサイエンティストがいて、その片腕の戦闘力が高い設定のクールビューティがいて、それと因縁浅からぬ少年がいて、でもどれも謎を残していると言うか、中途半端な説明だけで思わせぶりなことしか言わないから、なんだろう、どこかで見たようなシーンを切り貼りして「大作が一丁あがり」みたいに勘違いした作品になってる。

怖くもなければ、キャラクターが魅力的でもなくて、話も破綻してるし、読み方というか楽しみ方が最後までわからなかっら。

ラストで、ハナシマさんが補足の説明をするのには、呆れて失笑した。

 

だから、これが受賞したことが驚いたことの一つめ。

2つ目は、これの第2作が出ていたこと。

まじか。

どういう意図で続編だしたんだ?

面白かった? 売れると思った?

 

わからん。

感想文10冊目『埼玉県神統系譜』を途中で読むのをやめた3つの理由。

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記念すべき感想文10冊目は、第9回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞受賞。

新人賞受賞作だから読もうと思ったのもあるけれど、

実は主が書こうと考えているラノベの切り口が「コンサルティング」で、

この本も「潰れかけの神社を立て直す」のが主軸のようだから

参考になるかと思い読んで見た。

結論から言うと、大変残念ながら、半分くらいで読むのをやめた。

 

これまで読んだ10冊のラノベのうち、途中でやめたのは『通常攻撃が2回攻撃で全体攻撃のお母さんは好きですか』だけ。ただし『通常攻撃〜』は、趣味が合わなかったから(年齢的な意味で)「あとは若い人で楽しんでね。おじさんはここで失礼するよ」的な放棄だったのに対し、本作の場合は、単純に、面白さがわからなかった。

 

一番目の理由は、話の進展が遅いこと。

90ページくらい読み進めたが、主人公が謎の神(少女)と山登りをして、普通に帰ってきただけ。そこで第1章が終わるのだが、その章で得られる進展やカタルシスは、ほぼ無いに等しい。

逆に言うと、ここまでで十分面白いと感じた人は、次に進めるのだろうが、主は残念ながら進めなかった。

 

その理由として二番目に、文章のタッチが合わなかった。

主人公(男)の一人称のラノベだが、文章のタッチが、読んでいて面白いと思わなかった。

その原因は大きく2つある。

一つは、主人公(著者)の笑いのセンスと合わないこと。

なんと言うか、いちいち大げさで、うるさい。魅力的で無いのだ。

一昔前なら「それがラノベだ!」と押し切られたら納得したかもしれないが、

10冊読んだ経験から、それは嘘だと今なら言える。

それに、わざとなのか、難しい言葉をたくさん使おうとする。

最初は「神道ものだからかな?」と思ったが、違うね、これは著者が自分の知っている言葉をこれ見よがしに使っているだけだ。全然効果的でない。

それに、ギャグもやや古く、切れ味が悪い。

だから、ページの会話部分以外は、ほとんど飛ばして読んだ。

取れ高の少ないラノベなのだ。

 

面白く無いと思った理由その3、話がそもそも破綻してる?

最後まで読んで無いから、実はストーリーについて語る資格はない。

でもね。

倒産しかけの神社を立て直すために、神と神主が、絵馬に書かれた願い事を叶えることで、信者の信仰を集め、再起を図る、というグランドデザインは最初で解説されるから、そこはわかりましたよ。

そこまではいい。

でもさ、最初のミッションが「暑い日が続くから暑さを緩和してほしい」って何?

神も「最初から天候の願いに手を出すとは大胆だな」みたいなセリフを言ってたけど、

で、てっきり撤回するのかと思ったけど、このミッションに取り組むのよね。

 

おいおい。

気候を変えることの方が、神社の再建より簡単ってどういうことなの(笑)

 

例えば「●●大学に合格したい」とか「●●さんを彼女にしたい」とか、そういう願いを神&神主で叶えてあげて、じわじわ信徒を増やす、って展開ならまだ理解できるけど、最初に地球の気候をいじってしまえる力を見せつけられたら、「そらボロ神社の再建なんて朝飯前だろ?」と思うよ。

・・・いや、まだその力を見せつけられたわけではない(=読んでない)から、その後の展開は実は違うのかもしれないが、一瞬でもそちらの方に進んだだけで、登場人物そのほか世界観に、主はついて行けなかった。

 

あとがきで「面白い話が書きたくなって、書いた」とあった。

ラノベを一冊も書いたことがない主が、あえて突っ込みますよ。

 

多分あなたの書きたかったのは、面白い話ではなく、面白い文章でしょうし、

ノリノリでそれを書いたのはわかりますが、

その文章もあまり面白くないような気がします。

感想文9冊目『いでおろーぐ!」が今のところ暫定1位と感じた3つのポイント

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第21回電撃小説大賞銀賞受賞作。

 

・・・やられた。

ちきしょう、面白いじゃないか。

新人のデビュー作がこのクオリティなのか。

世の中、侮れない。

 

主はラブコメが、それほど好きではない。

なので「反恋愛主義青年同盟」の美少女が「恋愛放棄を叫ぶ」と言うあらすじを読んだ段階で、「はいはい、どうせそう言いながら恋愛するんでしょ?」くらいに考え、それほど期待せずに読んだ。

革命闘争のガジェットが面白いと感じたのと、学園もののリサーチをしたいと思ったこと。この2点が読んだ理由であり、つまんなければ途中で次に行く予定だった。

そして見事にオルグされた(笑)

 

自分なりに、なぜこんなに面白いと思ったか、整理しておこう。

 

その1、主人公へのスムーズな感情移入

主は少し反省している。

ラノベの主人公(男)は、あくまで主要キャラ(女)の狂言回しであり、物語の進行上は必要であるが、まあ、それほど重視すべきものではないと思っていた。

しかしその考えは改める。

主人公、大事だわ。

主人公は、読者にとって、ラノベという異世界の「目」の役割を果たすのだが、本作の主人公は実に居心地が良い「目」なのだ。あまり目立ちたくない、そこそこかっこいい少年という点では『ようこそ実力至上主義へ!』の主人公とたいさないが、あっちは読んでいてイライラしたのに対し、こっちは実に楽しい。

それほど尖ったキャラ設定でもないし、切れ者でもない小市民だけど、根はいいやつだ。こんな程度でしか表現できない主の筆力がもどかしいが、美少女がいなくても、この主人公でご飯4杯はいける。

「あるある」「その気持ちわかる」

という男ゴコロに、すごく寄り添っているのだ。だから無理なく受け入れられる。

(ちなみに「」「」を縦に連続で使うのも、この著者のテクニックのようだ)

主人公の男の、いわばMC力によって作品の印象が変わるんだな。

この点の共感度というか、世界への入り込みやすさはピカイチだ。

 

その2 奇抜ではなく意外なストーリー

いや、基本的には当初の予想どおりなんだよ。

「反恋愛主義」と言いつつ、やっぱり恋愛するのは。

でも、話の展開がなかなか面白くて、「え、どうなるの?」と、ついついページをめくってしまう。これはうまい。

ネタバレになるが、途中で神様(JSの姿)が出てくる。

その段階で一度本書を放棄しようかと思ったけど(まじで)、実に自然な形で馴染んでくるのだ、これが。いや不思議。

で、主人公はヒロインの「反恋愛主義」運動の同志となりつつ、実は神の手先となってその運動を阻止するためにヒロインを恋愛に陥らせる工作員となる。

主人公も「よくわからなくなってきた」とぼやくのだが、この入り組んだ展開が、なぜか無理やり感がなく、コミカルに楽しく読める。

反恋愛の革命運動に身を焦がす美少女とJSの神様との対決なんて、まあ、飛び道具だ。

それを使えば「一発ネタ」としては楽しいかもしれないが、普通は途中で破綻するか、飽きる。

本作が秀逸なのは、それらがうまくビルトインされており、世界観に飽きたり破綻したりするどころか、むしろ「え、そう来るの?」「どうなるの?」と引き込まれるところ。

飛び道具をぶっ放して終わり、ではなく、それをうまく使っているのだ。

 

その3 仕事が丁寧

結局、主人公が魅力的なのも、ストーリーに引き込まれるのも、

作者がこの作品を非常に繊細に、丁寧に作り上げたからだと思う。

話自体は、まあ、本当は大したことがない。

登場人物も、特別魅力的ですごいというわけではない。

でも一つの話として、実に生き生きしていて、生命力がある。

そう感じるのは、話の展開、セリフ、人物描写を、非常に丁寧に書き進めているからではないだろうか。

おそらく、何度も推敲し、完成度を高めていったと思われる。そうでなければ、これだけ「スルっ」とその世界に入ることはできないと思う。

変なヒロイン、変な設定、変な神様が出てくるのに、無理なく読めるのは、相当緻密に文章が考え抜かれているからだと思う。

 

すごい話をしてやろう。

すごいキャラを考えてやろう。

それも大事だが、もっと大事なこともある。

究極的には「読んでいて心地よい」ことが最強の武器であり、「すごい話」「すごいキャラ」は、読者が求めるものの1つにすぎない。

 

以上

 

感想文8冊目『ようこそ実力至上主義の教室へ』が個人的に受け付けられない3つの理由

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主はよく知らないんだけど、ラノベ界ではフアンが多い著者の作品。

CMも相当打たれたようで書店でもオススメされるなど、

話題になったラノベらしい。

 

主も「ラノベを書くなら、学園カースト的なものにしようかな」と考えていたところで、物凄く参考になると思い読んでみた。

読んでみた、が・・・・・・・

正直、受け付けられなかった。

アマゾンレビューを見ても、主と同じような感想が半分くらいだったので、

その受け付けられない理由は、あながち、的を射たものだと思う。多分。

 

理由その1 話の展開が超遅い、というか後半まで展開しない。

300Pほどあるが150Pまではほぼ話が進まない。

キャラ設定やキャラ同士の関係を、ダラダラとした描写で延々と綴っている。

タイトルの「実力至上主義の教室」がかいま見えるのは、後半に入ってから。

これは辛いですよ。

「理由その2」に関係するが、もしキャラが魅力的で感情移入できるなら、

このダラダラ描写もまだ受け入れられたかもしれない。

でも主にはダメだった。

誰一人「いい」と思うキャラはおらず、むしろイライラした。

何度途中でやめようかと思ったことか。

歯を食いしばって最後まで読んで、なぜこんなに展開が遅いのかわかった。

いや、本当は薄々気づいていたんだけど。

つまり、もともと何巻も続ける予定だったので、本書はプロローグ的な扱いなのだ。

アマゾンレビューにも、この本の熱烈な読者からのこんな書き込みがある。

 

「1〜2巻は正直辛いけど、3巻から面白くなる。見切ったら勿体無い!」

 

いや、ちょっと待てよと。

だったら3巻まとめて1000Pの本として出版してよ。

あるいは「上中下」巻にしろよ。

そうすれば、「上だけ読んで文句言うのは、俺が悪いな」ってなるから。

単体の商品としては、どう考えても、この1冊はひどい。

たとえ長い物語の序章的な1冊にするとしても、もう少しこの1冊の完成度や満足度を高める努力、工夫の余地はあるはずだと思う。そうした作品はたくさんある。

その点、この本は著者や出版社の甘えが見える。

 

理由その2 キャラが嫌い

丸々一冊キャラのおしゃべりに費やしたわりには、キャラに魅力を感じなかった。

むしろ不愉快だった。

この辺りは好みの問題だからしょうがないが、不愉快に思った理由を書いておこう。

まず主人公。

冒頭で「ぼっちで友達ができない」と悩むわりには、実はイケメンランキング5位でクラスの美女ベスト2からなぜか積極的に声をかけられ、相当勉強もできてキレ者(?)であると言う設定が後半わかってくる。

「実力スーパーだけど底辺や目立たない人生を愛するイケメン」「美女が勝手に話しかけてくる、でもどうでもいい」と言う設定はラノベ界の一つのテンプレだが、これは主は、好きじゃない。自分がそうじゃないからと言うこともあるが、ぶっちゃけムカつくんだ(小者)

そうありたい願望を満たすラノベなのかもしれないけど、それで「友達ができなくて困る」とか言われても、「はあ?」としか思えない。

あとヒロインも、毒舌(出た!)なんだが、なんだろう、今までに読んだキャラの中でも特に不愉快。まあ、それはそれで成功していると言うことかもしれないが、「つん」の裏の「デレ」がない?ので、単に性格の悪いやつ。

性格の悪い毒舌の美女がラノベの鉄板テンプレであることに異論はない。

でもなんだ、この「拾いどころ」のない不愉快さは。

主人公にも共通するが、なんか理屈っぽくて、人間が矮小なんだよね。

人助けしないことの意味のロジックをつらつら口にして「はい論破」みたいな。

申し訳ないが、主はそう言うのに魅力を感じない。

イキがったガキのたわごと。

そして、そう言うガキが「実力者」と言われる世界観は、ダメなんですよ生理的に。

 

理由その3 表現、文章が1世代古い

生徒が女教師に「今日は生理?」と聞いたり、「女子とエッチして〜」とか、

なんか昭和チックで、おっさんが書いたラノベ感丸出しなんだよな。

2015年刊行とは思えない。

キャクターの「設定感」「セリフ」が、昔のPCゲームそのままみたいで、

さすがにそんな話し方今はしないだろう、と言うのが随所に出てくる。

 

 

とまあ、いろいろ受け付けられない理由を述べたが、

最後にもう一つ付け加えることがある。

主が持っている本の奥付には「第10刷」と書いてあり、

本シリーズは6巻まで続いていることだ。

つまり、売れており、フアンもいると言うこと。

これは事実だから否定できない。

 

こう言うのが好きな人もいるんだ、と言うことは忘れないようにしようと思う。

 

以上

キャラクターは、わかりやす過ぎるくらい極端に個性的に

ラノベを5冊、ラノベに近しい本を2冊ほど読んだところで、

一旦、ここまでの気づきを総括してみる。

 

その1 キャラクターは極端に、マンガチックに

たとえば「かわいい」「美少女」くらいの表現はバンバン使う。

時には胸の大きさも強調する。

それをしないで魅力的に書ける筆力があるなら別だが、

そうでないなら、そうした修飾語を多用してもなんら問題なし。

 

そして性格は、マンガ的に極端に「振れて」いて丁度いい。

わかりやすいツンデレ

わかりやすいお嬢様キャラ

わかりやすい元気娘。

極端な、あるいは大胆な行動を平気でとる。

とにかく、アイコンとしてわかりやすい、エッジが効いたキャラにする。

「実際にいそう」な人を描く必要はない。

 

そしてなぜか主人公の周りには美女だらけ。

そして一番かわいい子が、なぜか主人公を意識する。

「そんな偶然の出会いあるかよ」

「そんな御都合主義の展開あるかよ」

なんて言ってる俺には、俺がこう言ってやる。

「それ誰得?」

 

そう、ラノベは読者に夢を与えるものでなくては。

コメディか、シリアスかはどちらでもいいけれど、

日常では体験できない出来事、出会えない魅力的な人物、

そうしたものが求められる。

主の小さな頭で考えると、どうしても小ぢんまりと、

あまり魅力的でない人物や場面が出てきがち。

主の日常を小説にすると、そりゃあ主人公は地味でもてないさ(涙)

そんな話は誰も読みたがらない。

だから、ありえないキャラ、ありえない展開がいいんだよ。

 

書くときは、ちょっとネジを2〜3本飛ばして、

あっちの世界に入って、ノリノリで書くべし。

もちろん、テーマによっては、守るべきルールもある。

例えば物理法則を無視していいかといえば、守った方がいいだろう。

でも、そのほかのほとんどは、好き勝手にやった方がいい。

細かいことはいいんだよ。

要は、面白くて、そのラノベの世界にずっといたい、と思えるような作品であれば。

誰も窮屈で地味な、リアルに近い非リア充の話は求めていないんだってば。

 

以上