よい子のラノベ教室

ラノベ作家デビューをたくらむ会社員が   読んだり書いたり

感想文7冊目『か「」く「」し「」ご「」と「』はラノベっぽい小説だけどそもそもその両者の違いはなんだ?

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『君の膵臓を食べたい』で一躍人気作家となった住野よるの新作。

ラノベだけ続けざまに読むと、井の中の蛙になる。

というのは屁理屈で、ぶっちゃけ疲れるから、少し違うものも読んでみようかと、

今話題作を手に取ったわけ。

 

というわけで最初の1話だけ読んだけど・・・、

・・・これラノベじゃね?

一人称で、軽い感じで、読みやすい。

高校生の青い日常を、非常に共感できる視線と描写で描かれている。

 

主は基本的にラブコメラブロマンスは読まないし苦手なんだが、

いい話を読んだなあ、と、心がほっこりした。

話題になるだけはある。

 

で、宣伝文には「青春小説」って書いてあるんだけど、

これってラノベだよね?

ラノベの定義は何か、と問われても適切な答えは持ち合わせていないが、

これが「ラノベではない」という根拠もあまり見当たらない。

 

美少女は出てくる。

ちょっと現実離れしたキャラ設定の美少女。

コミカルな展開。

内気な主人公の一人語り。

 

まあ、ラノベの大賞受賞作も「あまりラノベっぽくない」と審査委員にコメントされたりしているくらいだから、その境界は曖昧なのかもね。

誰か明確な違いがあれば教えてほしいです。

 

以上

感想文6冊目『勇者に期待した僕がバカでした』はいいね! これ好き!

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第10回小学館ライトノベル大賞の審査員特別賞受賞作。

あれ? これレベル高くない?

すげえ楽しめたんだけど。

これで審査員特別賞なの?

大賞はどんだけすごいんだコレ。

個人的には、これまで読んだ5冊のラノベで一番好きなやつ。

 

ざっくりまとめると、社畜ブラック企業をネタにしたファンタジーもの。

主人公が属する魔王軍が、いわゆる企業体になってる。

役職的には、中間管理職。

新人社員に振り回されたり、上司に気を使ったり、

サラリーマンの悲哀が描かれている。

魔王軍も、コンペで仕事を取ったり、生々しい。

 

キャラクターがいいんですよ。

主人公は狂言回しの役所だから、それほどキャラが立ってるわけではないけど、

その部下のギャル風魔術師の、ギャルっぷりが、まず可愛らしい。

でもって、役員クラスの四天王が、またそれぞれ個性的。

 

話の展開もうまいんだな。

冒頭から「勇者が棍棒を購入した」という噂で職場(魔王軍)がざわつくんだけど、

そのシチュエーションがおかしくて。

 

なんだろう。

まあ、薬にも毒にもならない話といえば、そうなんだけど、

そしてそれは『通常攻撃が全体攻撃で2回攻撃のお母さんは好きですか?』と同じということなんだけど、『通常攻撃〜』は途中で読めなくなって、『勇者〜』は最後までどころか、続編も買いたいとさえ思ってしまったのは、果たしてなんの違いなのか。

世界観の合う、合わないって、こういうことなんだろな。

 

【勝手にラノベ分析】

・主人公は男性、若い中間管理職。基本的に「振り回され」キャラ。

・サブ主人公が新人社員(魔女)。今時のギャルで、腹たつんだけど憎めない。

・他のキャラも魅力的だが、キャラのやりとりだけでなく、ストーリーもなかなか読ませる。まあ、愚にもつかない話なんだけど、主はこういうの、好きなんだな。 

 

個人的にはすごく好きで、レベルが高いと思うんだけど、

これが大賞ではなく審査員特別審査賞になったのは、

やはり、ちょっと社会人っぽいテーマだからかな。

主は社会人歴が長いから楽しく読めるし、審査員もそうだろうけど、

中学生、高校生がどれくらいこれを楽しめるかは、ちょっとわからない。

だから大賞じゃないのかもね。

でも、続編も出てるから、十分ヒット作なんだろうな。

 

これが受けるなら、今主が考えてるテーマも受けるかもな、と思った。

 

以上

感想文5冊目『五色の魔女』は、レベル高いんだけどキャラに好感が持てなかったよ。

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中世と蒸気機関が入り混じった本格ファンタジーもの。

国家戦力級の力を持つ5人の魔女の1人(と、その使い魔)が主人公。

魔女の1人の謎の死をきっかけに、残された魔女達が、

その首都を舞台に、宰相や軍隊を巻き込んで戦いを繰り広げる。

第1回集英社ライトノベル新人賞特別賞受賞作。

 

なんと言っても本書の売りは、魔女対魔女のバトル。

ネクロマンサー、格闘系魔女、ゴーレム使い、液体魔女(?)などが、

街を破壊しながら異形の戦いを繰り広げる。

正直なところ、世界観やキャラの個性、ストーリーは、

どこかで見たような感じで特に印象に残らなかったけど、

戦闘シーンの描写は新人とは思えない書きっぷりで迫力があった。

「んっつ!」とか「おおおおおお!」とかの多用はご愛嬌。

 

さてさて主人公は、やや毒舌系のネクロマンサー。

(やはり毒舌系・・・)

見た目はティーンエイジャーだが、本当は100歳以上。

露出の多い服、ふむふむ。

何度か「美少女」みたいな描写が直接的にされていたが、

これにはもう慣れてきた。

というか、これくらいしないとダメなんですよね、わかります。

なぜなら小説でも文学でもなく、ラノベなんだから。

 

でもって、主にとっての一番納得できなかったのがこの主人公だった。

理由は一つ、一般市民を平気で殺すんだよね。

反政府軍がたむろする酒場で、自分の使い魔に命じて、

ガトリング銃を乱射させるんだよね。

で、一般人も巻き込んでるけど、別にいいっしょ、みたいな。

これ、一般人を巻き込まない方法はいくらでもあったし、

そもそも反政府軍って、そんなに悪い奴らじゃない、という設定なの。

なのに無差別虐殺ですか。

そうですか、ふ〜ん。

 

いいんですよ、主人公が聖人君子じゃなくても。

ピカレスクは主も嫌いではないし。

主が好きな漫画『ヘルシング』とか、普通に民間人巻き込んで、

ヒハヒハ笑ってるからね、主人公のアーカード

でもアーカードは、普通に異常者、じゃなくて異常吸血鬼だから。

 

五色の魔女の主人公、ジャッカルは、アーカードほど異常者ではない。

そりゃあ高い戦闘力を誇る人外の100歳オーバーの魔女だから、

普通じゃないし、そこに毒舌属性や攻撃性属性がある方が、

キャラも立って魅力的かもしれないけど、

無差別虐殺属性まで付け加えることに、何かメリットがあったのかな?

主には、その狙いはわからないね。

 

しかも、その描写の一部にでも、たとえば、

「そこに民間人の肉塊が混じっていることに気づき、「ちっ」と少女は舌打ちした」

の一文でもあれば、主はここに引っかかりはしなかったと思う。

でもどうやら、著者は、主人公が無差別虐殺するファクターを、

どうしても入れたかったようなんだよね。

書かなきゃなんとでも解釈できるのに、あえて、

・この酒場には民間人もいる

・いることを知っていてガトリング銃の乱射を命じた

という文章を入れてるんだよね。

入れなければ、「民間人はいなかった」ことにも「いることに気づかなかった」ことにもできるし、そうすることで何か困ることにはなるとは思えないんだけど。

 

この虐殺属性があるから、後半、主人公の孤独感や、使い魔の少年のいい話も、

素直に読めなくなったんだよね。

「タチの悪い無差別殺人者にそんな表情されても、ねえ・・・」

 

【勝手にラノベ分析】

・ファンタジーもの。そういえば何かの記事で、現実世界から異世界に入り込むファンタジーものの応募は不可だって書いてあったな。よっぽど多いんだろう。あ、これは純粋なファンタジーものだから平気。

・三人称。おや珍しい。

・主人公は高い攻撃力を誇る美少女の魔女。男は、脇役で2人ほど。

 

昔(●十年前)ならこの手の剣と魔法の物語を書く意欲があったのだけれど、

残念ながら、その時の少年の空想力(妄想力)は、もはや失われたようだ。

地名とか世界のルールとか、考えるの、超面倒臭い。

現役中2病には勝てないよ。

 

やっぱり、現代を舞台にした方がいいのかな。

 

以上。

感想文4冊目(非ラノベ)『絶対服従者』は力作だけど、う〜ん・・・

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富士見ファンタジア小説大賞と日本ファンタジー小説大賞は、

同じように見えるけれど、まったくの別物であることがわかる一冊。

 

本作は第24回日本ファンタジー小説大賞の優秀作。

ざっくり言うと、ブレードランナーレプリカントを昆虫に置き換えて、

舞台を日本の近未来にしたような話。

・・・と言ってしまうと飛躍しすぎ?

 

この賞はラノベの賞ではない。

ライトではなく、しっかり「小説」してる。

どこがどう違うのか、思いつつくママに挙げて見よう。

 ・毒舌美少女が出てこない(ややツンデレの美昆虫はいる)

 ・重たいテーマ(人種・異種)

 ・グロい、陰鬱な描写が続くところもあり

 ・ナドナド

 

暗くて深刻で真面目なんだよね。

それが悪いわけでもないし、て言うか、むしろ主の読書歴に近いけど、

ラノベを書くのであれば、反面教師的な気づきにつながる。

つまり「もっと読者を気軽に楽しませろ」ってこと。

 

ラノベを読みたい人は、ガッツリと読みたいわけじゃない。

頭使わず、手軽に、気持ちよくなりたい(だよね?)。

ならば作り手も、それに応える必要がある。

本格フレンチやイタリアン、懐石料理を作ろうとしてはいけない。

カレーかラーメン。

いや、ポテチとコーラで十分。

ちょっと小腹が空いてる時に、軽くつまみたいだけなんだから。

 

もちろん、本格シェフの道を歩むのもありなんだけれど、

それは作家で食っていく人に任せておこう。

 

ちなみに文庫本がなく、しかも品切れなので、中古で購入したんだけど、

「乞御好評」の短冊が挟まってた。

あ〜、これ著者か出版社が誰かに献本したやつだよね。

ブックオフに売られるなんて、ちょっと切なくないですか。

う〜ん・・・

感想文3冊目『弱キャラ友崎くん』は勝間和代のラノベ化説。

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 この本は新人賞の受賞作ではなく、ある程度ベテラン書いたラノベ

なんでこの本を読もうと思ったのかというと、

ふとしたきっかけで、本書が某書店で一風変わった売られ方をしていると

小耳に挟んだから。

なんでも、ビジネス書(自己啓発書)として売り出されているとか。

 

どういうことか真相を確かめるべく取り寄せて見たところ、

マジでそうだった。

あるゲームだけ神級に強いけど、リアルには冴えない少年が、

そのゲームで2番目に強いリア充の女の子から、

「リアルの世界の攻略法」を学ぶという筋書き。

で、そのリアルの世界の攻略法というのが、自己啓発書のノウハウ。

たとえば、イケメンや美少女でなくても表情を変えれば印象は変わる、とか。

で、少女の指示に従い、主人公の少年が口角を上げる特訓をする。

 

うん、聞いたことがある。

勝間和代マッキンゼー時代、やってたやつだ。

確か、口角を上げるために、割り箸を加えて訓練したとか。

 

つまり、「自分を変える」「意識高い系」のハウツーを、

ラノベに持ち込んだってわけだ。

これはいいヒントになりそう。

 

ここ何日か「自分が書くなら、どんなテーマのものを書くのか」、

つらつら考えて見たんだけど、どうにも考えが収束しないんだよね。

で、この本を含めいろいろ読んで悩んだ末に、2つの結論にたどり着いた。

 

1つ。まったく新しい物語を考えようとしない。

これは何も、パクリをやろうぜって言っているわけではない。

先人が切り開いてきた道の先を、新たに切り開けばいいんじゃね?

という意味。

イノベーションとは、まったく無から有を産むことではなく、

今あるものから、新しい意味や価値を生み出すことと聞いたことがある。

それに、自分が考えた物語がまったく新しいものかどうかなんて、

検証しようがないんだよね。

さらに言えば、読者がまったく新しい物語を求めているとも限らない。

その点、『弱キャラ友崎くん』は、

ビジネス書の素材をラノベに持ってくることで新しい価値を生み出している。

これがヒント1。

 

もう1つのヒントは、やはり、大人には大人の戦い方があるということ。

ブログ主は、そこそこのおっさんだ。

臨場感あふれる学園描写や、淡い男女の恋話をリアリティを持って書くのは、

相当無理があるんですよ、実際。

そこで戦っては、つい最近まで学生だった若手作家に勝てるはずがない。

もちろん、社会人経験をそのまま書いてはラノベにならないんだけど、

そこで経験したこと、見聞きしたことをうまくラノベに活かせば、

自分のオリジナリティを出せるし、ネタもそこそこストックがある。

他者と差別化を図るには、ここは一つ武器になるだろう。

これがヒント2。

 

【勝手にラノベ分析】

・少年の主人公の1人称。基本的には冴えない少年。

・少女は、一見はつらつとした美少女だが、主人この前では毒舌。

 

まだ結論を出すには早いが、ヒロインに表裏を持たせ、

裏では毒舌(S)って設定は、鉄板というか王道かもしれない。

『ソラゴト』もそうだったけど、この設定は多そう。

自分の前でだけは素の表情を見せてくれる少女。

10代の男の子の大好物は、これだな。

 

ちなみに、今まで読んだ2作、つまり新人賞受賞作と違って、

そこそこ実績のある人のラノベは、やっぱり上手い。

文章のこなれ感もそうだが、話の展開も計算して丁寧に書いている。

この本でも、よく考えると強引な展開はあるんだよね。

女の子が「自分が尊敬するゲーマーがリアルでは弱キャラなのが許せない」

という根幹の設定も、まあ、無理があるんじゃない?

でも、そこに無理があってもそんなことは読者にとってどうでもいいことは、

なんとなくわかってきた。

それに、あまりそのことを感じさせない試合運びのうまさも本書にはある。

やるなあ、と思った次第。

 

新人賞作品だけでなく、

一定の評価を得ているラノベもたまには読んだ方が吉だね。

 

以上です

感想文2冊目『通常攻撃が全体攻撃で2回攻撃のお母さんは好きですか?』は俺には無理です。

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これもファンタジア大賞29回大賞作。

 

主人公(ゲーマー少年)のお母さんが、なぜか見た目が若い美少女で、

そのお母さんとMMORPGの世界に入り込んで珍道中。

しかもお母さん初期パラメーターがチート級の強キャラで、

天然のキャラがなんとも可愛らしい、的なラノベ

 

【勝手にラノベ分析】

・ストーリーを楽しむラノベではなく、キャラのやり取りを楽しむラノベ

・主人公の一人称。狂言回しが主人公で、読みどころはお母さんのキャラ。

 

基本的にストーリーはどうでもいいというノリ。

このラノベの商品価値は、親子の掛け合い漫才。

そこが楽しめる人はラストまで満足できる。

 

ブログ主は、残念ながらハマれなかった。

半分くらい読んで「これが最後まで続くのか(ふう)」と思い、

やめちゃった。

お腹いっぱい、ごちそうさまです。

主は結構歳を食ってるので、

「マサキ、このモンスター弱いよね」

「違うよ!ママが異常に強いんだよ!」

的な掛け合いを200P読むだけの体力がないんです。

 

それよりも、えらい簡単にPCのモニターからゲームの世界に入って、

「え? もうちょっと何か、説明的なものはないの?」

と、そういうところに引っかかってしまった。

 

いや、いいんだけどね。

ゲームの世界に入るのに屁理屈こねても、読者は喜ばないだろうから。

それより、美少女ママと息子のやり取りに、クスリと笑いたいんだよ。

だったら、それに注力して、細かいことは放っておくのが吉というもの。

 

選者のコメントを見ても、

「キャラがよい」

「アイデア勝利

とのこと。

 細かいことはいいんだよ、ほんと。

 

【本書から得た気づき】

・読者が読みたいものだけ書けばいい。細かいことは気にしない。

 

以上。

感想文1冊目。『追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ』は『君の名は』認定しました

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ラノベ作家デビューのための研究であれば、

最近の受賞作から読むのが定石だよね。

というわけで第29回ファンタジア大賞金賞受賞作。

 

しかし、内容の想像がつきにくいタイトルだな。

ホラーなのかコメディなのかもわからずに読み始めるという新体験。

今後この方法を個人的に「闇鍋選書」と名付ける。

(多分二度と使用されない)

 

で、肝心の中身だが・・・・

ふんふん、なるほど。

パラレルワールドでボーイミーツガールで田舎で

天災で女の子が死んで生き返らせて巡り合って。

 

はい、『君の名は』に認定します。

 著者の名誉のために言っておくと、

「パクリ」だとか、そういうことを言ってるわけじゃない。

第29回ファンタジア大賞の締め切りがいつだったかはわからないけど、

(ちょっと調べたんだけど、前期とか後期とか、よくわかんないんだよね)

多分映画の公開よりこの本の原稿の方が先にできてたんじゃないかな。

 

それに、もし映画にインスパイアされて書いたとしても、それはそれでアリ。

「今こんなストーリーが求められてる」と気づいて

短期間でそれに近いラノベが書けるのなら、実際大した才能だ。

 

というか、読後に振り返ると、表紙の絵はもろ『君の名は』だよね。

まあいいや。 

話の筋は、そんな感じ。

 

【勝手にラノベ分析】

・物語は『君の名は』。ボーイミーツ&パラレルワードもの。

・主人公の少年の1人称。平凡な少年。特技無し。

・もう一人の主人公の女の子は、基本設定は「外面上品」「実はS」

 (ただし、ストーリーが進行するに従って性格面に変化あり)

・基本、少年が謎の事象に巻き込まれ、それを解決する系の展開。

・キャラありきではなく、ストーリーありき。

 

読んでまず思ったのは

「そんなに超絶上手くなくても大賞は取れるんだな」。

上から目線で何様コメントで悪いんだけど、ごめん、これ率直な気持ち。

その昔、西尾維新を読んで「こんな化け物に勝てるかアアア!」と思った主が、

「い、今なら行けるんじゃね?(ゴクリ)」と、ある意味希望をもらった。

 

文章も、読みにくくはないけど、それほどうまいとも思わない。

話の展開も、あまり斬新さはなく、強引なところもある。

高校生くらいでもババっと思いつきそうな展開。

 

でも、なんだかんだ言って2時間ちょっと楽しませてもらった。

人様をそんなに楽しませるものを書いたことがない主としては、

悪態をつきながらも「全然俺よりスゴいっす」と敬服しているのも事実。

あと読後感は爽やか。

 

文章がそれほど上手くない(主の主観)のは、

これがデビュー作だからしょうがない。

実際、半年後に続編が刊行されているようだから、

これからだんだん上達するんだろう。

 

あと、高校生がバッと考えそうな筋書きも、それが悪いことじゃない。

おっさんがジックリ調べて考えた筋書きは、ラノベでは求められてない。

要は、読者が読みたいものを、書いてあげることが大事。 

 

著者のあとがきが、なかなか参考になった。

謙遜もあるだろうけど「全然受賞する自信がなかった」ことと、

1ヶ月半くらいで書き上げたことと、

最初と、途中の絡みと、最後だけイメージがあって、

あとは勢いで埋めて言ったという執筆裏話。

こういう「スタイル」の話は、本当に参考になる。

 

受賞理由は、ファンタジア大賞のサイトによると、

「非常によくできたラブストーリー」

「練りこまれた王道青春SF」

「普遍性の高さ」

等々。

ラノベではないが」という意見も発見した。

え?

これ、ラノベの大賞じゃないの?

っていうか、ラノベの定義ってなに?

そのあたりは、まあ、いずれ肌感覚で理解していこう。

 

謎のポストに昔の年賀状を入れるとその通りになる、

本書のキモの設定は、結構非現実的というか、

無理があるような気がしていたんだけど、

そのあたりは余裕で大丈夫なようだ。

多少強引でも夢があればオッケーということなのね。

 

それにしても、タイトルの意味はいまだにわからない。

応募時点のタイトル『だから少年は彼女を消すことにした』は、

ちょっと暗いしネタバレ感があるから変えた方がいいと思うけど、

ソラゴトってなんだろうね?

その「なんだろうね?」感がいいのかな。

 

【本書から得た気づき】

・文章力がないとか嘆いてないで、まず書き上げようね。

・一見しおらしいけど毒舌の女の子は鉄板の人気キャラ。

・自分では「少し恥ずかしい展開」くらいが中高生に受ける(未確認)