『拝啓、本が売れません』はラノベ志望者の参考になる
本書を手に取った主な理由は、ラノベの参考にしようと思ってのことではなく、
ブログ主も出版業界の片隅で息をしているから。
なぜ本が売れないのか、ということは、10年以上の悩みの種だ。
それをテーマにした本が売れるとは到底思えないんだけど、
職業的な関心と、著者の経歴に注目して買って見た。
ある意味、小説家になりたい人からしてみれば、マラソンのゴールテープを1着で切ったように見えるご経歴だ。そんな著者をして、本が売れないと嘆くのかあ、と傷跡を舐めてみたい衝動を抑えきれずに読み始める。
で、240Pくらいの単行本を1時間ちょっとで読み終えた。
あまり文字数もなく、文章も読みやすいので、あっという間だ。
正直、書店さんに取材したくだりや、映像関係者やウェブ関係者に取材したくだりは、参考にならなかった。ふ〜ん、って感じ。
しかしながら、いくつか「ふむふむ」とページの端を折ってメモしたことも。
まず、この著者曰く、すべての出版社の編集者が同じことをいうそうだ。
それは「もっとわかりやすく」。
言いすぎる、説明しすぎるほどしろ、と。
これは覚えておこう。手を抜いてはダメなのだ。
あとは、キャラクター。
これは、取材をした三木一馬もそう言っているし、新潮nextの趣旨にもそうあるのだが、「現代の面白い小説=キャラクター」が鉄板らしい。
そして、ラノベはその最たるものらしい。
なるほど、以前、住野よゐがラノベ作家ではないかと疑った事がある。
それは文体がそうだったからだが、ラノベか否かは文体ではないのだ。
ぶっ飛んでるキャラクターの有無。
ブログ主の中でも、これは非常に有益な示唆であった。
最後に。
著者の額賀氏が読者対象として、「中学生の頃の、教室の片隅で、本を読んでいた自分。あの子が、その本を通して、だれかと交流できたらいいな」というようなことを書いていた。
これも大変、いい視点だと思う。
読者対象を、現在の自分にしてしまうと、色々問題がある。というか無理が生じる。
ブログ主も、あの頃の自分に、届けるつもりで書いてみようと思う。