よい子のラノベ教室

ラノベ作家デビューをたくらむ会社員が   読んだり書いたり

感想文8冊目『ようこそ実力至上主義の教室へ』が個人的に受け付けられない3つの理由

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主はよく知らないんだけど、ラノベ界ではフアンが多い著者の作品。

CMも相当打たれたようで書店でもオススメされるなど、

話題になったラノベらしい。

 

主も「ラノベを書くなら、学園カースト的なものにしようかな」と考えていたところで、物凄く参考になると思い読んでみた。

読んでみた、が・・・・・・・

正直、受け付けられなかった。

アマゾンレビューを見ても、主と同じような感想が半分くらいだったので、

その受け付けられない理由は、あながち、的を射たものだと思う。多分。

 

理由その1 話の展開が超遅い、というか後半まで展開しない。

300Pほどあるが150Pまではほぼ話が進まない。

キャラ設定やキャラ同士の関係を、ダラダラとした描写で延々と綴っている。

タイトルの「実力至上主義の教室」がかいま見えるのは、後半に入ってから。

これは辛いですよ。

「理由その2」に関係するが、もしキャラが魅力的で感情移入できるなら、

このダラダラ描写もまだ受け入れられたかもしれない。

でも主にはダメだった。

誰一人「いい」と思うキャラはおらず、むしろイライラした。

何度途中でやめようかと思ったことか。

歯を食いしばって最後まで読んで、なぜこんなに展開が遅いのかわかった。

いや、本当は薄々気づいていたんだけど。

つまり、もともと何巻も続ける予定だったので、本書はプロローグ的な扱いなのだ。

アマゾンレビューにも、この本の熱烈な読者からのこんな書き込みがある。

 

「1〜2巻は正直辛いけど、3巻から面白くなる。見切ったら勿体無い!」

 

いや、ちょっと待てよと。

だったら3巻まとめて1000Pの本として出版してよ。

あるいは「上中下」巻にしろよ。

そうすれば、「上だけ読んで文句言うのは、俺が悪いな」ってなるから。

単体の商品としては、どう考えても、この1冊はひどい。

たとえ長い物語の序章的な1冊にするとしても、もう少しこの1冊の完成度や満足度を高める努力、工夫の余地はあるはずだと思う。そうした作品はたくさんある。

その点、この本は著者や出版社の甘えが見える。

 

理由その2 キャラが嫌い

丸々一冊キャラのおしゃべりに費やしたわりには、キャラに魅力を感じなかった。

むしろ不愉快だった。

この辺りは好みの問題だからしょうがないが、不愉快に思った理由を書いておこう。

まず主人公。

冒頭で「ぼっちで友達ができない」と悩むわりには、実はイケメンランキング5位でクラスの美女ベスト2からなぜか積極的に声をかけられ、相当勉強もできてキレ者(?)であると言う設定が後半わかってくる。

「実力スーパーだけど底辺や目立たない人生を愛するイケメン」「美女が勝手に話しかけてくる、でもどうでもいい」と言う設定はラノベ界の一つのテンプレだが、これは主は、好きじゃない。自分がそうじゃないからと言うこともあるが、ぶっちゃけムカつくんだ(小者)

そうありたい願望を満たすラノベなのかもしれないけど、それで「友達ができなくて困る」とか言われても、「はあ?」としか思えない。

あとヒロインも、毒舌(出た!)なんだが、なんだろう、今までに読んだキャラの中でも特に不愉快。まあ、それはそれで成功していると言うことかもしれないが、「つん」の裏の「デレ」がない?ので、単に性格の悪いやつ。

性格の悪い毒舌の美女がラノベの鉄板テンプレであることに異論はない。

でもなんだ、この「拾いどころ」のない不愉快さは。

主人公にも共通するが、なんか理屈っぽくて、人間が矮小なんだよね。

人助けしないことの意味のロジックをつらつら口にして「はい論破」みたいな。

申し訳ないが、主はそう言うのに魅力を感じない。

イキがったガキのたわごと。

そして、そう言うガキが「実力者」と言われる世界観は、ダメなんですよ生理的に。

 

理由その3 表現、文章が1世代古い

生徒が女教師に「今日は生理?」と聞いたり、「女子とエッチして〜」とか、

なんか昭和チックで、おっさんが書いたラノベ感丸出しなんだよな。

2015年刊行とは思えない。

キャクターの「設定感」「セリフ」が、昔のPCゲームそのままみたいで、

さすがにそんな話し方今はしないだろう、と言うのが随所に出てくる。

 

 

とまあ、いろいろ受け付けられない理由を述べたが、

最後にもう一つ付け加えることがある。

主が持っている本の奥付には「第10刷」と書いてあり、

本シリーズは6巻まで続いていることだ。

つまり、売れており、フアンもいると言うこと。

これは事実だから否定できない。

 

こう言うのが好きな人もいるんだ、と言うことは忘れないようにしようと思う。

 

以上

キャラクターは、わかりやす過ぎるくらい極端に個性的に

ラノベを5冊、ラノベに近しい本を2冊ほど読んだところで、

一旦、ここまでの気づきを総括してみる。

 

その1 キャラクターは極端に、マンガチックに

たとえば「かわいい」「美少女」くらいの表現はバンバン使う。

時には胸の大きさも強調する。

それをしないで魅力的に書ける筆力があるなら別だが、

そうでないなら、そうした修飾語を多用してもなんら問題なし。

 

そして性格は、マンガ的に極端に「振れて」いて丁度いい。

わかりやすいツンデレ

わかりやすいお嬢様キャラ

わかりやすい元気娘。

極端な、あるいは大胆な行動を平気でとる。

とにかく、アイコンとしてわかりやすい、エッジが効いたキャラにする。

「実際にいそう」な人を描く必要はない。

 

そしてなぜか主人公の周りには美女だらけ。

そして一番かわいい子が、なぜか主人公を意識する。

「そんな偶然の出会いあるかよ」

「そんな御都合主義の展開あるかよ」

なんて言ってる俺には、俺がこう言ってやる。

「それ誰得?」

 

そう、ラノベは読者に夢を与えるものでなくては。

コメディか、シリアスかはどちらでもいいけれど、

日常では体験できない出来事、出会えない魅力的な人物、

そうしたものが求められる。

主の小さな頭で考えると、どうしても小ぢんまりと、

あまり魅力的でない人物や場面が出てきがち。

主の日常を小説にすると、そりゃあ主人公は地味でもてないさ(涙)

そんな話は誰も読みたがらない。

だから、ありえないキャラ、ありえない展開がいいんだよ。

 

書くときは、ちょっとネジを2〜3本飛ばして、

あっちの世界に入って、ノリノリで書くべし。

もちろん、テーマによっては、守るべきルールもある。

例えば物理法則を無視していいかといえば、守った方がいいだろう。

でも、そのほかのほとんどは、好き勝手にやった方がいい。

細かいことはいいんだよ。

要は、面白くて、そのラノベの世界にずっといたい、と思えるような作品であれば。

誰も窮屈で地味な、リアルに近い非リア充の話は求めていないんだってば。

 

以上

感想文7冊目『か「」く「」し「」ご「」と「』はラノベっぽい小説だけどそもそもその両者の違いはなんだ?

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『君の膵臓を食べたい』で一躍人気作家となった住野よるの新作。

ラノベだけ続けざまに読むと、井の中の蛙になる。

というのは屁理屈で、ぶっちゃけ疲れるから、少し違うものも読んでみようかと、

今話題作を手に取ったわけ。

 

というわけで最初の1話だけ読んだけど・・・、

・・・これラノベじゃね?

一人称で、軽い感じで、読みやすい。

高校生の青い日常を、非常に共感できる視線と描写で描かれている。

 

主は基本的にラブコメラブロマンスは読まないし苦手なんだが、

いい話を読んだなあ、と、心がほっこりした。

話題になるだけはある。

 

で、宣伝文には「青春小説」って書いてあるんだけど、

これってラノベだよね?

ラノベの定義は何か、と問われても適切な答えは持ち合わせていないが、

これが「ラノベではない」という根拠もあまり見当たらない。

 

美少女は出てくる。

ちょっと現実離れしたキャラ設定の美少女。

コミカルな展開。

内気な主人公の一人語り。

 

まあ、ラノベの大賞受賞作も「あまりラノベっぽくない」と審査委員にコメントされたりしているくらいだから、その境界は曖昧なのかもね。

誰か明確な違いがあれば教えてほしいです。

 

以上

感想文6冊目『勇者に期待した僕がバカでした』はいいね! これ好き!

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第10回小学館ライトノベル大賞の審査員特別賞受賞作。

あれ? これレベル高くない?

すげえ楽しめたんだけど。

これで審査員特別賞なの?

大賞はどんだけすごいんだコレ。

個人的には、これまで読んだ5冊のラノベで一番好きなやつ。

 

ざっくりまとめると、社畜ブラック企業をネタにしたファンタジーもの。

主人公が属する魔王軍が、いわゆる企業体になってる。

役職的には、中間管理職。

新人社員に振り回されたり、上司に気を使ったり、

サラリーマンの悲哀が描かれている。

魔王軍も、コンペで仕事を取ったり、生々しい。

 

キャラクターがいいんですよ。

主人公は狂言回しの役所だから、それほどキャラが立ってるわけではないけど、

その部下のギャル風魔術師の、ギャルっぷりが、まず可愛らしい。

でもって、役員クラスの四天王が、またそれぞれ個性的。

 

話の展開もうまいんだな。

冒頭から「勇者が棍棒を購入した」という噂で職場(魔王軍)がざわつくんだけど、

そのシチュエーションがおかしくて。

 

なんだろう。

まあ、薬にも毒にもならない話といえば、そうなんだけど、

そしてそれは『通常攻撃が全体攻撃で2回攻撃のお母さんは好きですか?』と同じということなんだけど、『通常攻撃〜』は途中で読めなくなって、『勇者〜』は最後までどころか、続編も買いたいとさえ思ってしまったのは、果たしてなんの違いなのか。

世界観の合う、合わないって、こういうことなんだろな。

 

【勝手にラノベ分析】

・主人公は男性、若い中間管理職。基本的に「振り回され」キャラ。

・サブ主人公が新人社員(魔女)。今時のギャルで、腹たつんだけど憎めない。

・他のキャラも魅力的だが、キャラのやりとりだけでなく、ストーリーもなかなか読ませる。まあ、愚にもつかない話なんだけど、主はこういうの、好きなんだな。 

 

個人的にはすごく好きで、レベルが高いと思うんだけど、

これが大賞ではなく審査員特別審査賞になったのは、

やはり、ちょっと社会人っぽいテーマだからかな。

主は社会人歴が長いから楽しく読めるし、審査員もそうだろうけど、

中学生、高校生がどれくらいこれを楽しめるかは、ちょっとわからない。

だから大賞じゃないのかもね。

でも、続編も出てるから、十分ヒット作なんだろうな。

 

これが受けるなら、今主が考えてるテーマも受けるかもな、と思った。

 

以上

感想文5冊目『五色の魔女』は、レベル高いんだけどキャラに好感が持てなかったよ。

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中世と蒸気機関が入り混じった本格ファンタジーもの。

国家戦力級の力を持つ5人の魔女の1人(と、その使い魔)が主人公。

魔女の1人の謎の死をきっかけに、残された魔女達が、

その首都を舞台に、宰相や軍隊を巻き込んで戦いを繰り広げる。

第1回集英社ライトノベル新人賞特別賞受賞作。

 

なんと言っても本書の売りは、魔女対魔女のバトル。

ネクロマンサー、格闘系魔女、ゴーレム使い、液体魔女(?)などが、

街を破壊しながら異形の戦いを繰り広げる。

正直なところ、世界観やキャラの個性、ストーリーは、

どこかで見たような感じで特に印象に残らなかったけど、

戦闘シーンの描写は新人とは思えない書きっぷりで迫力があった。

「んっつ!」とか「おおおおおお!」とかの多用はご愛嬌。

 

さてさて主人公は、やや毒舌系のネクロマンサー。

(やはり毒舌系・・・)

見た目はティーンエイジャーだが、本当は100歳以上。

露出の多い服、ふむふむ。

何度か「美少女」みたいな描写が直接的にされていたが、

これにはもう慣れてきた。

というか、これくらいしないとダメなんですよね、わかります。

なぜなら小説でも文学でもなく、ラノベなんだから。

 

でもって、主にとっての一番納得できなかったのがこの主人公だった。

理由は一つ、一般市民を平気で殺すんだよね。

反政府軍がたむろする酒場で、自分の使い魔に命じて、

ガトリング銃を乱射させるんだよね。

で、一般人も巻き込んでるけど、別にいいっしょ、みたいな。

これ、一般人を巻き込まない方法はいくらでもあったし、

そもそも反政府軍って、そんなに悪い奴らじゃない、という設定なの。

なのに無差別虐殺ですか。

そうですか、ふ〜ん。

 

いいんですよ、主人公が聖人君子じゃなくても。

ピカレスクは主も嫌いではないし。

主が好きな漫画『ヘルシング』とか、普通に民間人巻き込んで、

ヒハヒハ笑ってるからね、主人公のアーカード

でもアーカードは、普通に異常者、じゃなくて異常吸血鬼だから。

 

五色の魔女の主人公、ジャッカルは、アーカードほど異常者ではない。

そりゃあ高い戦闘力を誇る人外の100歳オーバーの魔女だから、

普通じゃないし、そこに毒舌属性や攻撃性属性がある方が、

キャラも立って魅力的かもしれないけど、

無差別虐殺属性まで付け加えることに、何かメリットがあったのかな?

主には、その狙いはわからないね。

 

しかも、その描写の一部にでも、たとえば、

「そこに民間人の肉塊が混じっていることに気づき、「ちっ」と少女は舌打ちした」

の一文でもあれば、主はここに引っかかりはしなかったと思う。

でもどうやら、著者は、主人公が無差別虐殺するファクターを、

どうしても入れたかったようなんだよね。

書かなきゃなんとでも解釈できるのに、あえて、

・この酒場には民間人もいる

・いることを知っていてガトリング銃の乱射を命じた

という文章を入れてるんだよね。

入れなければ、「民間人はいなかった」ことにも「いることに気づかなかった」ことにもできるし、そうすることで何か困ることにはなるとは思えないんだけど。

 

この虐殺属性があるから、後半、主人公の孤独感や、使い魔の少年のいい話も、

素直に読めなくなったんだよね。

「タチの悪い無差別殺人者にそんな表情されても、ねえ・・・」

 

【勝手にラノベ分析】

・ファンタジーもの。そういえば何かの記事で、現実世界から異世界に入り込むファンタジーものの応募は不可だって書いてあったな。よっぽど多いんだろう。あ、これは純粋なファンタジーものだから平気。

・三人称。おや珍しい。

・主人公は高い攻撃力を誇る美少女の魔女。男は、脇役で2人ほど。

 

昔(●十年前)ならこの手の剣と魔法の物語を書く意欲があったのだけれど、

残念ながら、その時の少年の空想力(妄想力)は、もはや失われたようだ。

地名とか世界のルールとか、考えるの、超面倒臭い。

現役中2病には勝てないよ。

 

やっぱり、現代を舞台にした方がいいのかな。

 

以上。

感想文4冊目(非ラノベ)『絶対服従者』は力作だけど、う〜ん・・・

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富士見ファンタジア小説大賞と日本ファンタジー小説大賞は、

同じように見えるけれど、まったくの別物であることがわかる一冊。

 

本作は第24回日本ファンタジー小説大賞の優秀作。

ざっくり言うと、ブレードランナーレプリカントを昆虫に置き換えて、

舞台を日本の近未来にしたような話。

・・・と言ってしまうと飛躍しすぎ?

 

この賞はラノベの賞ではない。

ライトではなく、しっかり「小説」してる。

どこがどう違うのか、思いつつくママに挙げて見よう。

 ・毒舌美少女が出てこない(ややツンデレの美昆虫はいる)

 ・重たいテーマ(人種・異種)

 ・グロい、陰鬱な描写が続くところもあり

 ・ナドナド

 

暗くて深刻で真面目なんだよね。

それが悪いわけでもないし、て言うか、むしろ主の読書歴に近いけど、

ラノベを書くのであれば、反面教師的な気づきにつながる。

つまり「もっと読者を気軽に楽しませろ」ってこと。

 

ラノベを読みたい人は、ガッツリと読みたいわけじゃない。

頭使わず、手軽に、気持ちよくなりたい(だよね?)。

ならば作り手も、それに応える必要がある。

本格フレンチやイタリアン、懐石料理を作ろうとしてはいけない。

カレーかラーメン。

いや、ポテチとコーラで十分。

ちょっと小腹が空いてる時に、軽くつまみたいだけなんだから。

 

もちろん、本格シェフの道を歩むのもありなんだけれど、

それは作家で食っていく人に任せておこう。

 

ちなみに文庫本がなく、しかも品切れなので、中古で購入したんだけど、

「乞御好評」の短冊が挟まってた。

あ〜、これ著者か出版社が誰かに献本したやつだよね。

ブックオフに売られるなんて、ちょっと切なくないですか。

う〜ん・・・

感想文3冊目『弱キャラ友崎くん』は勝間和代のラノベ化説。

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 この本は新人賞の受賞作ではなく、ある程度ベテラン書いたラノベ

なんでこの本を読もうと思ったのかというと、

ふとしたきっかけで、本書が某書店で一風変わった売られ方をしていると

小耳に挟んだから。

なんでも、ビジネス書(自己啓発書)として売り出されているとか。

 

どういうことか真相を確かめるべく取り寄せて見たところ、

マジでそうだった。

あるゲームだけ神級に強いけど、リアルには冴えない少年が、

そのゲームで2番目に強いリア充の女の子から、

「リアルの世界の攻略法」を学ぶという筋書き。

で、そのリアルの世界の攻略法というのが、自己啓発書のノウハウ。

たとえば、イケメンや美少女でなくても表情を変えれば印象は変わる、とか。

で、少女の指示に従い、主人公の少年が口角を上げる特訓をする。

 

うん、聞いたことがある。

勝間和代マッキンゼー時代、やってたやつだ。

確か、口角を上げるために、割り箸を加えて訓練したとか。

 

つまり、「自分を変える」「意識高い系」のハウツーを、

ラノベに持ち込んだってわけだ。

これはいいヒントになりそう。

 

ここ何日か「自分が書くなら、どんなテーマのものを書くのか」、

つらつら考えて見たんだけど、どうにも考えが収束しないんだよね。

で、この本を含めいろいろ読んで悩んだ末に、2つの結論にたどり着いた。

 

1つ。まったく新しい物語を考えようとしない。

これは何も、パクリをやろうぜって言っているわけではない。

先人が切り開いてきた道の先を、新たに切り開けばいいんじゃね?

という意味。

イノベーションとは、まったく無から有を産むことではなく、

今あるものから、新しい意味や価値を生み出すことと聞いたことがある。

それに、自分が考えた物語がまったく新しいものかどうかなんて、

検証しようがないんだよね。

さらに言えば、読者がまったく新しい物語を求めているとも限らない。

その点、『弱キャラ友崎くん』は、

ビジネス書の素材をラノベに持ってくることで新しい価値を生み出している。

これがヒント1。

 

もう1つのヒントは、やはり、大人には大人の戦い方があるということ。

ブログ主は、そこそこのおっさんだ。

臨場感あふれる学園描写や、淡い男女の恋話をリアリティを持って書くのは、

相当無理があるんですよ、実際。

そこで戦っては、つい最近まで学生だった若手作家に勝てるはずがない。

もちろん、社会人経験をそのまま書いてはラノベにならないんだけど、

そこで経験したこと、見聞きしたことをうまくラノベに活かせば、

自分のオリジナリティを出せるし、ネタもそこそこストックがある。

他者と差別化を図るには、ここは一つ武器になるだろう。

これがヒント2。

 

【勝手にラノベ分析】

・少年の主人公の1人称。基本的には冴えない少年。

・少女は、一見はつらつとした美少女だが、主人この前では毒舌。

 

まだ結論を出すには早いが、ヒロインに表裏を持たせ、

裏では毒舌(S)って設定は、鉄板というか王道かもしれない。

『ソラゴト』もそうだったけど、この設定は多そう。

自分の前でだけは素の表情を見せてくれる少女。

10代の男の子の大好物は、これだな。

 

ちなみに、今まで読んだ2作、つまり新人賞受賞作と違って、

そこそこ実績のある人のラノベは、やっぱり上手い。

文章のこなれ感もそうだが、話の展開も計算して丁寧に書いている。

この本でも、よく考えると強引な展開はあるんだよね。

女の子が「自分が尊敬するゲーマーがリアルでは弱キャラなのが許せない」

という根幹の設定も、まあ、無理があるんじゃない?

でも、そこに無理があってもそんなことは読者にとってどうでもいいことは、

なんとなくわかってきた。

それに、あまりそのことを感じさせない試合運びのうまさも本書にはある。

やるなあ、と思った次第。

 

新人賞作品だけでなく、

一定の評価を得ているラノベもたまには読んだ方が吉だね。

 

以上です